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【はじめに】
日常生活で私たちは何らかの姿勢をとっています。例えば臥位(横になる)、座位、立位、です。歩行や走行も姿勢の連続といえます。姿勢により筋肉のスパズムが発生したり、疲れやすくなる等の問題が起こることもあり、いかに効率の良い姿勢を身につけられるようサポートするか、が大切なことだと考えています。
 

【立位・座位・寝る姿勢】
私たちが地球上で生活している時、常に重力の影響を受けています。重力とは物理的には地球の中心に向かう力であり、地表に垂直な方向に作用しています。
重力は力の向きが平行であるので、その作用点をひとつに合成することができます。その作用点を物体の重心(質量中心)といいます。重心を通る垂線を重心線と呼びます。
人体の重心は、骨盤内で第2仙骨のやや前方に位置しています。下腹部を触っていくと恥骨が触れます。その恥骨から拳1個上方がおおよそ仙骨の高さになります。
 
1.立つ姿勢(立位) 
標準的な立位姿勢で重心線は下図のように通過します。この姿勢は、力学的に安定しています。さらに身体各部位の筋緊張バランスが無意識に保持される形であり、全身の疲労が少ないのです。結果的にエネルギー消費も少なくなり、プロポーションも美しくなります。
立位姿勢と重心線

前後方向:耳垂(耳たぶ)-肩峰ー大転子ー膝関節前部ー外果の約2cm前方
左右方向:後頭隆起ー椎骨棘突起ー殿裂ー膝関節内側の中心ー両内果の中心
 
2.座る姿勢(座位)
座る姿勢で最も一般的なのは、椅子に座る姿勢かと思います。
職場や自宅でパソコンを使用する方にとって、椅子の座り方というのはとても重要な要素になります。座る姿勢によって痛みやしびれを助長させてしまう場合もあるからです。椅子に座るということは、その椅子の形状により姿勢が変化するので、まず椅子の選定が大切です。特に長時間椅子に座り仕事をされる方は以下の注意点を参考にしてください。
a. できるだけ深く座り、背もたれに背中が軽く当たるように座りましょう。
b. 太腿が床と平行になるように座面の高さを調整しましょう。
c. 足は床に着けるようにしましょう(床に着かない場合、足台を使用する)。
d. パソコン画面は目線と同じ高さか、やや下(5~10°)にしましょう。
e. 長時間座り続けず、1時間に1回は立って歩くなど姿勢を変えましょう。
 
3.寝る姿勢
寝る姿勢で一般的なのは、あお向けと横向きかと思います。
ほとんどの人が枕を使うでしょう。その枕の形状により姿勢が変化します。
 
a. あお向け
あお向け寝姿勢

 
首の骨は前に凸のカーブをしています。生理的な湾曲を考慮した枕の形状が望ましいです。高さでいうと"高い枕"より"低めの枕"の方が適していることが多いです。最も例外はあります。胸椎(胸の背骨)が後方に大きく凸になっている方は、高い枕でないとリラックスできません。ただし、割合でいうと低めの枕が適していることが多いでしょう。
次のポイントは枕で首の骨に当たる部分が凸になっている形状かどうかです。首の骨に当たる部分に凸サポートがあり、後頭部に当たる部分が凹になっている物は、生理的な湾曲をサポートする形状になります。
 
b. 横向き
横向き寝姿勢

 
図のように右が下の横向きについて説明しましょう。顔の右側面が枕に着き、右肩がマットレスに着いています。ここで確認するのは背骨が水平に近い状態が理想的です。背骨が水平で枕の高さは先ほどの"あお向け"より高くなるでしょう。あお向けと横向きで適正な高さが異なるのです。
したがって、枕の両サイドはやや高くなっている枕がリラックスできる枕となります。
【首の不良姿勢】
 
頭部の位置による力学的負荷の違い

 
日常生活では下を向くことが多いです。例えば、スマートフォンの操作、勉強、台所作業、子育てなどです。
上図は正面を向いている時と下を向いている時の力学的負荷の違いです。頭は体の10%の重さがあるといわれており、おおよそ5~6kgです。男性用のボーリングの球(12ポンド)で5.44kgですから頭は意外と重たいのです。こめかみにあるオレンジの点が頭部の重心になります。下を向くと視点から作用点(頭部重心)の距離が遠くなるので、これ以上頭が前方に倒れないようにするため、首の後ろ側の筋肉への負荷が強くなります。
首の後側の負荷は、正面を向く時に25N、下を向く時に100Nと4倍も違うことが分かります。
正面を向いている時、首の骨はやや前に凸のカーブを描いていますが、下を向く姿勢だとまっすぐになっています。このまま首の骨がまっすぐになってしまうと、いわゆる「ストレートネック」といわれる状態になります。
【股関節の不良姿勢】
股関節屈曲拘縮
 
 股関節で代表的な不良姿勢は股関節がまっすぐ伸びない、これを「屈曲拘縮」と言います。
なぜ屈曲拘縮になってしまうのか、理由のひとつは股関節の前方にある関節包や筋肉の硬さによりこのような状態になってしまいます。
図はAが健常者でBが股関節に問題がある方です。重心線を見てみるとBはAより股関節の前方に重心線が通過しています。
このような状態になると常にお尻の筋肉(大殿筋)が収縮します。収縮する時間が長くなると筋肉が硬くなったままになってしまい、筋肉のスパズムという問題につながってしまうのです。